「それでも“罪”になるのか──それでも、私は娘を守りたかった」
児童相談所との面談は、あれからも週に一度のペースで続いていた。
そして、次女との面会は、私たち家族にとって、何よりも大切な時間となっていた。
そんなある日、山本刑事から一本の電話が入った。
「野々口さん、お子さんの件ですが……やはり、長女さんの蹴りで骨折が起きた可能性は、セカンドオピニオンでも極めて低いとの判断です。
それよりも、前回お話しいただいた“足が挟まり、引き上げたときの出来事”──その時に大腿骨が過伸展して…かしんてんって言うのは、いわば逆関節のようになって、てこの原理で骨折に至った可能性が非常に高いとされました。」
私は言葉を失った。
受話器越しの沈黙が、妙に長く感じられた。
山本刑事は、少し言いにくそうな口調で続けた。
「まぁ、これは事故処理になるんですが。ただ……“過失傷害”として小さな罪になってしまうんですが、グレーな判定かと思いますが、受理して検察の判断になります。」
私は思わず尋ねた。
「それって……逮捕されるということなんですか?」
「いえ、“過失”ですから、逮捕ということはありません。
簡単に言えば、娘さんが足を挟んでいた可能性に気づいていれば、ドアを開けるなど、別の方法で助けられたかもしれない。
その“可能性”に対する“責任”が、問われる形になります。申し上げにくいですが、まぁ小さな罪になります。捜査にも協力的であり、早期事件解決に貢献していただいたと思っております。」
やっぱりそうだったのか・・・。
事故だった。娘を助けようとした瞬間だった。
それでも、その行為は「過失」とされ、記録に残るという現実。
自分で命よりも大切な我が子を傷つけてしまったこと。
頭では理解できても、少し残念で悲しい気持ちになった。
それと同時に、自分の行動には全て"責任"が重くのしかかるのだと
改めて強く認識した瞬間だった。
ようやく思い出せた“真実”が、次女の命と未来を守るための、最後のピースになってほしい。
その願いだけが、静かに胸に灯っていた。
次の話。次女の帰宅。晴れて一時保護が解除されたかに思えた⬇︎