ゲームが起動する。会話も進む。選択肢も押せる。
ここまで動くと、公開してよさそうに見えます。
そこで一度、進むのをやめてみる。
入力を取り消す。メニューを閉じる。ページを再読み込みする。
遊ぶ人は、作り手が想定した順番どおりには動きません。途中で迷うことも、別のページを見ることも、いったん離れて戻ってくることもあります。
Astraで作ったブラウザゲーム『恋愛以前。』を例に、公開前にも公開後にも使える確認手順を整理しました。
基本は、「何を押したか」「どうなるはずか」「実際にどうなったか」を残すこと。
この記録があれば、問題を見つけたあと、AIに修正を頼むときにも使えます。
制作の経緯は『恋愛以前。』制作記にまとめています。今回は、できあがったものをどう確かめるかの話です。
『恋愛以前。』で実際に確認したこと
確認日は2026年10月2日。クラウド環境のChromeから、公開中のゲームを操作しました。
画面の表示領域は1188×761、主人公の名前は検証用に「テスト」と入力しています。
対象は、新規開始から序盤の会話までです。スマホ実機、別端末、オフライン、全ルートや結末の確認は含みません。
今回試したのは、次の4つです。最後の列には、同じ操作で問題が出た場合に、AIへ伝える修正条件をまとめました。
| 操作 | 期待する結果 | 今回の確認結果 | 問題が出た場合の修正条件 |
|---|---|---|---|
| 初回のSTARTから名前入力を開き、閉じる | 開始を取り消し、新しい進行を作らない | タイトルへ戻り、CONTINUEは無効のまま | 開始確定前に進行や保存を更新しない |
| 開始後にMENUを開き、閉じる | 元の会話をそのまま続けられる | 同じ会話に戻り、日付・モチベ・所持金も変わらない | メニューの開閉で会話や数値を更新しない |
| 会話を一つ進め、再読み込み後にCONTINUEを押す | 保存された続きに戻れる | 2つ目の会話へ復帰し、名前・日付・数値も保持 | 保存する情報と、再開時に読み戻す情報をそろえる |
| MENUから攻略ガイドを開き、ゲームへ戻る | 案内を見たあともプレイを続けられる | noteが別タブで開き、購入せず戻って次の会話へ進めた | 外部リンクを開いても進行を失わず、戻ったあとも操作できるようにする |
この短い経路では、期待した動きを確認できました。ただし、この結果だけでゲーム全体の動作を保証できるわけではありません。
まず「押す前の状態」を残す
確認するときは、ボタンの反応だけでなく、操作前後の状態を見比べます。
押す前の会話、日付、所持金、残り回数などをメモする。押したあと、それらがどう変わったかを見る。
操作前後の画面を1枚ずつ残すだけでも、違いを説明しやすくなります。
今回の開始直後は、次の状態でした。
- 場所:自分の部屋
- 日時:4月7日23:41
- モチベ:8
- 所持金:0円
MENUを開いて閉じたあとも、同じ会話と数値を保っていました。
名前入力を閉じる場合も、「画面が閉じたか」だけでは確認が足りません。「まだ開始していない状態を保っているか」まで見ます。
取り消しただけで新しいセーブが作られる。メニューを閉じただけで一日進む。
そんな問題が起きたら、操作前後の状態と手順をAIへ渡します。「なんとなくおかしい」を、修正すべき条件として伝えられるようになります。
保存は「離れて、戻る」まで確かめる
今回、開始後の画面には「AUTO SAVED」と表示されました。そのあと会話を一つ進め、ページを再読み込み。
タイトルのCONTINUEから、再読み込み前の会話へ復帰できました。
保存の確認は、表示が出たところで終わりにせず、いったん離れて、保存された状態へ戻れるところまで試します。
自分の作品で確認するなら、会話の位置に加えて、次のような項目も対象にします。
- 入力した名前
- 選択済みの分岐
- 日付や所持金
- 所持品や好感度
- 行動回数や回数制限
画面が同じでも、分岐や回数の情報が戻っていなければ、次の操作で食い違う可能性があります。
再開後に少し進めて、続きの動きも確かめておきます。
進行データと設定は、分けて確認する
今回、開始直後は音がONと表示され、再読み込み後はOFF表示になりました。
実際に音が再生されたか、音の設定を保持する仕様なのかまでは確認していません。
そのため、この表示の変化だけで不具合とは判断できません。
会話や数値が保存されることと、音などの設定が保存されることは、項目を分けて確認する必要があります。
また、自分のゲームがブラウザ内の保存機能「localStorage」を使っている場合は、その条件も押さえておきたいところです。
localStorageのデータは通常、ブラウザを閉じても保持されます。
ただし、プライベートブラウズでは最後のプライベートタブを閉じると消去されます。保存を拒否するブラウザ設定などによって、エラーになる場合もあります。
詳しくは、MDNのlocalStorage解説で確認できます。
「どの条件で保存されるか」「保存できないときに何が表示されるか」も、確認してプレイヤーに伝えておきたい情報です。
外部リンクから、ちゃんと遊びに戻れるか
『恋愛以前。』のMENUには、攻略ガイドへの案内があります。
今回クリックすると、noteの販売ページが別タブで開きました。
購入せず元のゲームへ戻り、MENUを閉じると、会話を続けられました。
ここで確認できたのは、攻略ガイドを購入せずに、序盤のプレイへ戻って進められることです。
最後まで無料で遊べるかは、今回通して検証済みです。
自分の作品に案内や販売ページを置く場合も、リンク先が開くことに加えて、ゲームへ戻ったあとの動きを試します。
案内を読む人も、読まない人もいる。
購入する人も、しない人もいる。
それぞれの選択をしたあと、元の遊びを続けられるかまで確認します。
問題を見つけたら、この形でAIへ渡す
「保存がおかしい」「戻るボタンを直して」だけでは、どの状態を正解にするかが曖昧です。
次の項目を埋めると、問題の再現手順と、修正してほしい範囲を伝えやすくなります。
【確認した日時・公開URL】
いつ、どの公開版で確認したか【端末・OS・ブラウザ】
使用した環境。分かればブラウザのバージョンも記載【開始時の状態】
会話の位置、日付、数値、保存の有無【再現手順】
- ○○を開く
- ○○を押す
- ○○へ戻る
【期待した結果】
この操作で、どうなるはずだったか【実際の結果】
何が起き、どこが期待と違ったか【再現する頻度】
何回試し、そのうち何回起きたか【添付】
操作前後の画像、表示されたエラー【修正条件】
この症状に必要な箇所に絞って修正し、物語・分岐・見た目・既存のセーブとの互換性は維持する【修正後の確認】
同じ再現手順に加え、通常の開始・保存・再開も試す
画像やエラーを添える場合は、個人情報や認証情報が写っていないか確認してください。
修正版が返ってきたら、まず元の手順をもう一度なぞります。
そのあと、問題が起きた操作の前後も試します。
たとえば、メニューを閉じる処理を直したなら、開閉後に会話を進められるか、保存や再開もできるかまで見る。
一か所を直した影響が、別の場所に出ていないかを確かめるためです。
未確認の項目も、残しておく
次に確認する項目として、以下が残っています。
- スマホ実機での表示とタップ操作
- 長い名前や文章が表示される場面
- タイトルへ戻ってからの再開
- 通信が切れたときの動作や案内
- 各分岐から結末までの進行
PCで画面幅を狭くする確認も役立ちます。ただし、ChromeのDevice Modeはモバイル環境を近似するもので、実際のスマホ上でゲームを動かす確認とは条件が異なります。
スマホ対応を案内するなら、実機で確かめる工程も必要です。
詳しくは、Chrome DevToolsのDevice Mode解説を参照してください。
全部を一度に調べきれなくても、確認した条件と、まだ見ていない条件は分けて残せます。
公開後に修正を重ねるときも、この記録が次の確認に使えます。
AIにゲームを作ってもらったあとも、作り手が判断することは残ります。
どんな操作をしたら、何が起きるべきか。
その条件を言葉にして、実際の画面と照らし合わせる。
会話が進むところまで動いたら、一度、進むのをやめてみる。
取り消しても、閉じても、離れて戻っても、遊びを続けられるか。
そこまで確かめることが、できあがったゲームを公開するための確認になります。







感想を残すコメントを見る(0件)