突然の家宅捜索
2024年8月17日──
次女が一時保護されてから2日が経った
その日は、妻と長女を、実家に送り届けて私は出勤した。
その日の正午頃、突然、妻の携帯に一本の電話が入った。
警察「〇〇警察です。
今ご自宅にお伺いしているのですが、野々口さん、今どちらですが?」
妻『今は実家にいますけど・・・。なんですか?』
警察「え!?実家?!では、家宅捜索に立ち会っていただきたいので、お向かいに上がります。」
妻『え?!わかりました。でも、どういうことですか?』
警察「詳しいことは後ほどお話しします。」
そして、妻を警察は迎えに行ったそうだ。
しかし、現場に妻が到着するや
警察「家宅捜索令状が出ていますので、家の中を見させていただきますので鍵を開けてください。」
妻「鍵持ってませんけど・・・。」
警察・妻「「え」」
家宅捜索という現実
その頃、私は現場でトラックに乗り休憩していた。
すると、妻から突然着信があった。
妻『今日、家宅捜索されるみたいよ。鍵取りに行くらしいから現場教えて。』
私「え!?わかった。担当者の名前教えてくれる?」
数十分後、ガタイのいい男性が現場に現れた。
刑事a「野々口さん、すみません仕事中に、鍵を取りにきました。」
私 「あぁありがとうございます。ご苦労様です。手帳拝見してよろしいですか?」
私は几帳面だ、手帳を拝見したのは、家の鍵を預ける以上、担当と名前が違うとトラブルになると思ったからだ。
刑事a「失礼しました。わたくし刑事課の田中と申します。」
私 「?山本さんが来るとお聞きしておりますが・・・。」
田中「山本はあちらになります。」
私は田中が指差す方を見た。
ガタイは良くない、背も高くないが着痩せしている体つき。
そして鋭い眼光と、ゆっくりと落ち着いて歩いてくる姿に凝縮された経験を感じた。
山本「野々口さん、すみません仕事中。鍵を取りにきました。」
私は山本刑事に手帳を確認して、鍵を預けるための書面にサインして二人と別れた。
山本「それでは仕事が終わり次第、また警察の方へお願いします。」
場所の誤解・迅速な家宅捜査
私はその日、仕事が終わり、家に向かった。
妻と一緒に立会しなければならないと思い込んでいた。
帰宅すると、警察車両が家の前を2、3台で埋め尽くしていた。
私「(マジか・・・。)」
完全に、事件現場。
周辺住宅からは、おそらくただの犯罪者。
警察「あれ、野々口さんなんでここに・・・」
私 「え!ここに妻がいると思いまして・・・」
警察「いえ、警察署ですよ。まぁいいか、その方がやりやすいですのでご協力お願いします」
部屋の中を一つひとつ写真に収める。
家具の配置、床、玄関、ベランダ──。
子育ての記録のように残されていく、わが家の生活空間。
私は、花火大会当日に次女が来ていた衣服や、持ち物など指差して写真に収めていく。
まるで犯罪者の家にいるかのような空気。
しかし、どこか警察は和やかに作業をしている雰囲気であったことから、虐待を疑っている様子ではなかった。
記録として残る「普通の暮らし」
私たちが守り続けてきた家が
疑いの目で覗かれ、記録されるだけの場所に変わる。
それを体感した瞬間だった。
普通に生活している限り縁のないもの。
しかし、イレギュラーが起こると非現実は目の前に現れる。
終わったあとに残ったもの
捜索が終わり、警察官たちは一礼して帰っていった。
私も「必ず実証してください。」
とお願いした。
それを聞いた警察官は微笑んで頷いてくれた。
家中はなかなか荒れていた。
ある程度元の位置には戻してくれていたが、やはり緊急作業なので原状回復の優先順位は低いようだ。
あの日から、次女はまだ帰ってこない。
家には静けさが戻ったけれど
その静けさは、まるで「何もない」という証明のようで
居ても立ってもいられなかった。
一緒に考えてほしい
骨折の原因が特定できないというだけで
虐待が疑われた時点で
事件性があるとされた時点で
驚くほどのスピードで
住まいまでもが調べられる──
これは、本当に必要な手続きだったのだろうか?
“子どもを守るため”という大義のもとで、
どこまで親の生活は監視されるべきなのだろうか?
世間的に見れば虐待親のレッテルと捜索の記録が残っただけで
疑いが晴れたわけではない。
むしろ、この出来事を境に
「私たちは見張られている」という感覚が深く刻まれてしまった。
次回予告
第8話──
「面会を重ねるたびに変わっていく娘の表情と、
提示された“条件”」